サステナビリティマネジメント

基本的な考え方

当社グループは、「私たちは絆を大切にニチバングループにかかわるすべての人々の幸せを実現します」という基本理念を掲げています。この理念の根底にあるのは、まずは社員が幸せを感じられる環境をつくり、その幸せをすべてのステークホルダーにつないでいく、という考えです。当社グループのサステナビリティは、創業から脈々と受け継がれてきた理念の実現を基盤としています。

推進体制

ニチバングループは、ステークホルダーの皆様からの期待や社会の要請に応えていくために、サステナビリティ全般にかかわる基本方針、重要事項、リスクや機会などを検討、審議する組織として、CSR 担当取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会での議論内容は取締役会に年1回上程、報告され、取締役会が監督、指示を行います。また、この委員会で抽出された気候変動による事業継続リスクは、BCP 委員会にて具体的な対策を検討します。

サステナビリティ委員会における重要検討事項等

  • 二酸化炭素(CO2)排出量削減目標、取り組みの管理
  • TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示
  • 健康経営方針の展開
  • 人権方針、購買方針の展開
  • サステナブル研究開発フローの展開

マネジメント

2022年度より、サステナビリティやSDGs に関連する「人権方針」「健康経営方針」「購買方針」を新たに策定しました。これには社会に対してだけではなく、ニチバングループの社員の健康と幸せを実現するさまざまな施策も含まれます。

ニチバングループの価値創造プロセス

ニチバングループは「基本理念」の基、価値創造の源泉となる6つの資本を、強みである「粘着技術」に活かし、ステークホルダーの皆様と新たな価値を共創しています。この価値創造プロセスにより、サステナブル社会への貢献、さらにはグローバルな環境変化に対応できるレジリエンスを高め、中長期的な企業価値の向上を目指していきます。

マテリアリティの特定

ニチバングループの事業活動によって影響を与える重要課題を再整理し、ステークホルダーにとっての重要課題とあわせてマッピングを行いました。その結果、「気候変動・地球温暖化対策」「環境・社会課題の解決に貢献する製品開発」「感染予防対策への貢献」「製品の品質向上と安全の確保」を、ステークホルダーとニチバングループともに極めて重要度が高いと位置づけました。

マテリアリティの特定プロセス

サステナビリティの考え方に基づき、『NICHIBAN GROUP 2030 VISION』の実現に向けた経営を行ううえで、特に重要となるテーマを3つの方法により特定しました。ニチバングループのバリューチェーンをふまえ、事業における重要性と社会からの要請や期待を念頭にテーマを選定しています。

  1. 1

    課題の抽出

    SDGsやESG 評価機関の評価項目、各種ガイドラインなどから社会課題の初期評価項目を抽出

  2. 2

    ニチバングループが取り組むべき重要なテーマの選定

    社外ステークホルダーの意見も入れて選定

  3. 3

    社内の承認

    経営戦略会議および取締役会にて審議、承認

目標KPIと実績

テーマ マテリアリティ 具体的なアクション 2022年度の実績 2023年度の目標 関連するSDGs
環境 環境、社会課題の解決に貢献する製品開発
  • 環境・社会課題の解決に貢献する製品の開発基準の策定
  • 環境を配慮した開発テーマ・新製品開発の促進
  • 製品の天然素材比率向上によるさらなる環境課題への貢献
  • 製品の開発基準に適用可能な指標のひとつとして、自社工程内でのエネルギー使用量の調査を実施
  • 製品CO2排出量算定方法の確立
    環境・社会課題に対応した開発テーマの推進
6 安全な水とトイレを世界中に
7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8 働きがいも経済成長も
9 産業と技術革新の基盤を作ろう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任つかう責任
13 気候変動にづ隊的な対策を
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう
環境負荷の低減
  • ISO14001 環境マネジメントシステムの継続運用と監査の実施
  • 新技術の創出による溶剤使用量の削減
  • 環境情報の開示
  • ISO14001の認証継続、全社員の環境意識や内部監査員のレベルアップ、環境マネジメントシステムの改善への取り組みを継続
  • 脱溶剤の取り組み推進中
  • エネルギー使用実績 :発熱量514万TJ(前年度516[TJ])
  • Scope1,2 CO2排出量 20,710[t-CO2](前年度22,620[t-CO2])
    • グリーン電力証書のグリーン電力証書相当量を控除した数値
  • FSCⓇ認証の取得
  • ISO14001の維持と管理レベル・質の向上
  • 既存製品の脱溶剤化
  • 製造時のエネルギー使用量削減
  • ニチバングループ統合報告書2023(日本語・英語)発行
化学物質の適正な管理
  • 原材料のグリーン調達の推進
  • 「ニチバングループグリーン調達ガイドライン」に基づく適切な調達管理の継続
  • 製品含有化学物質に関する外部調査依頼への適切な対応の継続
  • 継続して、グリーン調達の推進とお客様からの製品含有化学物質調査依頼への対応
気候変動・地球温暖化対策
  • ニチバングループのCO2排出量の削減
  • グリーン電力比率の向上、太陽光発電設備の設置
  • 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく情報を開示
    Scope1とScope2は、2030年度に40%削減(2013年度対比)、2050年度に100%削減(2013年度対比)を目標とした。
  • Scope1,2,3計算方法の確立
  • 太陽光発電実績494[千kWh]
  • グリーン電力証書購入量11,100[千kWh]
  • 2023年6月のコーポレート・ガバナンス報告書にて気候関連財務情報開示タスクフォース( TCFD)提言に基づく開示と、Scope1,2,3計算結果を公表する。
資源の枯渇への配慮
  • 原材料の有効活用による廃棄物の削減
  • 水の効率的使用及び廃水処理の管理
  • サーマルリサイクルからリサイクルへの転換
  • 廃棄物の99%以上をリサイクルする「ゼロエミッション」 達成の継続・水使用量687千㎥(前年度比2%削減)
  • 製品端材のリサイクル化技術の探索開始
  • ゼロエミッション工場の維持
  • 水資源投入量→毎年前年度比2% 削減
  • リサイクル化技術の探索
生物多様性保全
  • ニチバン巻心ECOプロジェクトの植林活動・江の川「森のしずく」保全活動
  • 「第13回 ニチバン巻心ECOプロジェクト」実施
  • 植林活動による酸素固定量 推定532~937[t-CO2/年]
  • ニチバン巻心ECOプロジェクトの継続実施、貢献度向上とNGOとのエンゲージメント向上
社会 製品の品質向上と安全の確保
  • ISO9001 品質マネジメントシステムの継続運用と監査の実施
  • 顧客満足の向上
  • 戦略的データ活用と社内業務生産性向上に向けた、新基幹システムの導入開始
  • 全社改善活動の推進
  • ISO9001の認証継続、設計品質・製造品質および 顧客満足度の向上を目指した取り組みの継続
  • 新基幹システム:単体および国内グループ3社、海外グループ1社に導入、業務標準化を推進
  • 生産改善活動エントリーチーム数 55チーム
  • ISO9001の維持と管理レベル・質の向上
  • CS 調査の実施
  • 新基幹システムを利用した社内業務の効率化の実現・効果概要書の確認
  • 販売施策での先端マーケティングデータ活用促進
  • 全社改善活動での効率化・省廃棄物・省エネ促進
3 すべての人に健康と福祉を
4 質の高い教育をみんなに
5 ジェンダー平等を実現しよう
8 働きがいも経済成長も
10 人や国の不平等をなくそう
11 住み続けられるまちづくりを
労働安全衛生と社員の健康への対応

健康経営の推進

  1. [方針1]
    生活習慣病などの疾病の発生予防・重症化予防
  2. [方針2]
    メンタルヘルス不調などのストレス関連疾患の発生予防
  3. [方針3]
    健康に対する意識向上
  4. [方針4]
    健康経営を推進する環境の整備
  • ニチバングループ健康経営方針の策定、推進体制、行動指針に基づく課題の取りまとめ、公開
  • 健康経営優良法人2023認定
  • 予防の観点からの課題抽出
  • 健康に対する意識向上
  • 健康経営を推進する環境の整備
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進と人財育成
  • 女性活躍と障がい者雇用の推進
  • 従業員エンゲージメント向上・組織マネジメント力強化の取り組み推進
  • 中期人財育成体系の再整備・テクニカルスキルマップを活用した必要スキルの向上
  • 女性活躍推進に向けた第2次行動計画(2019年4月~2024年4月)の取り組み推進
  • 時差通勤制度、在宅勤務制度の導入
  • 障がい者職場「ステップス」の活性化に向けた取り組み活動継続
  • 女性管理職比率10.8%(単体)
  • テクニカルスキルマップ運用による、中長期ビジョン達成に必要な各部署のスキル明確化、スキル向上の教育実施
  • 職場エンゲージメント向上プロジェクトの実施
  • 法律で定められた障がい者雇用率の実現と維持
  • 障がい者とともに成長していく職場づくり
  • 管理職に占める女性の割合10%以上
  • エンゲージメント・レーティングスコア50.0(Bランク)
  • テクニカルスキルマップの確実な運用
サプライチェーンマネジメントの強化
  • 原材料原産地とのエンゲージメント強化(人権・環境問題)
  • 購買方針の徹底
  • 購買方針の策定/今後の SAQ に向けて、コンプライアンスの徹底、機会均等と透明性の確保、環境負荷低減への貢献、「持続可能な調達」観点からのお取引先選定を明文化
  • 「セロテープ®」原材料産地への視察実現と現地の自然環境、労働環境の把握と改善貢献
  • 主要原材料購入先への SAQ を実施
  • 取引先への購買方針の説明実施
地域・社会への貢献
  • 事業所周辺地域とのコミュニケーション活動
  • 小学校への出前授業による啓蒙活動
  • 障がい者支援
  • アスレティックトレーナーの育成
  • オフィシャルサプライヤーを通じた支援と怪我を防止するテーピング技術の啓蒙活動
  • (公財)日本サッカー協会 JFA PARTNERSHIP PROJECT for DREAM(JPPD)に参画、次世代のアスレティックトレーナー育成を目的としたプロジェクト「SOCCER MEDICAL CAMP」の開催。このプロジェクトはサッカー現場で求められる知識、実技、経験を伝えるものです。
  • 埼玉事業所、安城事業所における清掃活動
  • 小学校への出前授業25校
  • 高校でのSDGs啓蒙授業1校
  • アスレティックトレーナー育成活動とテーピング技術啓蒙活動の継続
医療への貢献
  • 絆創膏や止血製品、ドレッシング材による感染予防への貢献
  • 止血製品はCOVID-19ワクチン接種需要の供給責任を果たすべく、生産を実施、全国のワクチン接種会場や医療機関に滞りなく供給
  • タイ国の一部の医療施設に対しても、ワクチン接種のための止血製品を供給
  • 感染症予防対策製品が普及していない地域(国)へのタイムリーな供給体制の整備
ガバナンス コーポレート・ガバナンス
  • 内部統制システムの整備
  • ニチバングループ内部統制の目的の共有と現場への浸透の施策として内部監査室が事務局となり、内部統制小委員会を4回開催
  • 監査での不備に対する改善案の協議・検討および監査報告後のフォローアップ状況の情報共有を実施
  • 各部門・グループ会社での自律的な内部統制・リスク管理の強化
  • グローバル視点を含めたガバナンスの強化
9 産業と技術革新の基盤を作ろう
16 平和と公正をすべての人に
コンプライアンス
  • コンプライアンスの浸透(行動ハンドブック・eラーニングによる教育)
  • 内部通報窓口の充実
  • 行動ハンドブックを作成し、グループ内に配布の上、社員のとるべき行動指針を周知啓蒙・グループ内にてハラスメント相談窓口体制を構築するとともに、社員向けeラーニングや外部講師によるハラスメント防止研修を実施
  • グループ全体でのコンプライアンス強化に向けた教育の実施と体制の構築
  • グローバル視点を含めたコンプライアンスの強化
  • 海外通報窓口「グローバルホットライン」の開設
リスクマネジメント
  • 緊急時対応訓練の実施
  • BCP/BCM による安定供給体制の整備
  • 大規模地震を想定した「全社緊急対策本部設置訓練」を実施し、本社・工場・オフィス間の指示系統の確保および被災情報の一元化、見える化を図る情報集約体制の構築
  • BCP 委員会(年2回)で抽出された事業継続計画の課題を解決すべく、グループ全体での情報共有および対応方法の決定、推進
  • 大規模災害を想定したグループ全体での緊急時対応訓練の継続実施
  • BCP基本方針に基づいた事業継続計画の確立と維持運用
情報セキュリティ
  • IT統制システムの整備
  • IT 統制の社内標準書に基づき、開発および運用、適切なリスク管理および監査対応を実施
  • IT戦略会議を年4回実施、基幹システム運用・インフラ整備、セキュリティ教育の状況を確認し、課題進捗と今後の対策の取りまとめを実施
  • ニチバングループIT セキュリティ方針に則った企業活動の実施と更なる管理レベルの向上
ビジネスイノベーション イノベーション創出
  • 研究開発組織の再編
  • スタートアップ企業の協働プログラム推進
  • 自社技術の棚卸有効活用
  • グループ社内提案制度の活用
  • BtoB の顧客現場課題に対する提案、BtoBコンシューマー視点・企画開発への取り組み実施
  • スタートアップとのアクセラレータープログラム: 実証実験実施、一部テーマを取り込み
  • 新社内提案制度の運用継続、アイデア創出に向けて、「日常の困りごと」など幅広く意見、情報を収集
  • 2022年度社内提案制度「NBrain」での提案数149件
  • 顧客機軸ベース・マーケットインを意識した開発体制の推進
  • スタートアップ企業との協業推進
  • オープンイノベーションを活用した新たな事業展開推進
  • 新社内提案制度NBrain を活用した開発品・製品開発提案、idea farm(社内SNS)でのひらめき・情報共有の推進
9 産業と技術革新の基盤を作ろう
17 パートナーシップで目標を達成しよう
グローバル市場へのスピーディな展開・拡大
  • NICHIBAN(東アジア・オセアニア)NICHIBAN(THAILAND)(東南アジア・ASEAN・中近東地域)NICHIBAN EUROPE(欧州全域)を含む全世界に対する新規開発活動の推進
  • 重点地域における戦略的パートナー探索・選別(業務提携・M&A)
  • 「ケアリーヴ」の取扱店増加、傷をやさしく保護する高機能絆創膏の普及を促進
  • 注射後の穿刺部に衛生的に貼付できる止血絆創膏「セサブリック」の告知推進、一部地域での採用
  • 感染症予防製品の教育啓蒙と販売の拡大
  • 感染症予防対策製品が普及していない地域(国)へのタイムリーな供給体制の整備
3 すべての人に健康と福祉を

バリューチェーンにおけるサステナビリティの重要テーマ

バリューチェーンにおける重要テーマ

研究開発フロー

ニチバンのサステナビリティ・CSR

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