年齢を重ねるとともに皮膚のバリア機能が低下し、皮膚にトラブルが生じやすくなります。弱った皮膚を守るためには、皮膚を守る知識と、トラブルが起きたときの正しい対処法を知ることが必要です。今回は皮膚を守るためのスキンケアのポイントや、気をつけたい皮膚トラブルについてご紹介します。
加齢と共に皮膚にも変化が起こる
皮膚にはバリア機能が備わっており、外部からの刺激を防ぎ、必要以上の水分蒸発を防ぐ役割があります。加齢は皮膚本来の機能を低下させ、皮膚が傷つきやすくなります。
健康的な皮膚
特徴
- 皮膚の新陳代謝が活発に行われる。
- 皮膚にハリや弾力があり、なめらかでやわらかい。
- 皮膚に水分が蓄えられ潤いがある。
- バリア機能が正常に機能し、外部刺激に強い。
老化した皮膚
特徴
- 皮膚の新陳代謝が遅くなる。
- 皮膚が薄くなり、たるみやしわができる。
- 乾燥しやすくなる。
- 保湿やバリア機能が低下し、外部刺激に対して弱い。
➡皮膚が傷つきやすくなる
(些細な刺激で傷ができたり、裂けてしまう)
皮膚は身体を守るバリア機能
皮膚の重要な役割は「身体を守ること」です。化学物質や細菌が体内に入り込むのを防ぐ役目も担っています。このバリア機能が低下すると、かぶれや赤み、乾燥によるかゆみなどのあらゆる皮膚トラブルが起こりやすくなります。
スキン-テアを起こしやすい皮膚状態
●皮膚と身体を守るスキンケア
バリア機能には、「外部刺激からの保護」「水分保持」「免疫機能(細菌などの侵入を防ぐ)」がありますが、加齢で乾燥しやすくなった皮膚はこの機能が低下し、スキン-テア※のような皮膚トラブルに繋がります。皮膚トラブルを防ぐには、バリア機能を高めるスキンケアがとても重要です。
- ※
スキン-テアとは スキン-テアは、医療的ケアや介助時の摩擦などの刺激で皮膚が裂けてしまうことです。皮膚が薄く乾燥しやすい高齢者では特に起こりやすく、注意が必要です。
バリア機能低下度チェック
上記に1つでもチェックが付いた方は、皮膚が弱って傷ができやすくなっているかもしれません。
次のポイントを参考に、スキンケア方法を見直してみてください。
皮膚を守る土台!スキンケアのポイント
皮膚トラブルの予防には、「洗浄」「保湿」「保護」がとても大切です。スキンケアは日々の積み重ねが重要ですので、それぞれのポイントを押さえて、日常生活にぜひ取り入れてみてください。
洗浄
石けんは低刺激や弱酸性のものを選びましょう。
37~39度のぬるめのお湯を使用し、まずはよく泡立てます。
皮膚はこすらず、泡でなでるようにやさしく洗ってください。
最後は十分に洗い流しましょう。
ふき取りの際も柔らかい布やタオルを使用し、こすらないように気をつけましょう。
保湿
バリア機能を高める上で、保湿は特に重要です。
保湿剤は皮膚の状態によって選び方も変わりますが、のびが良く塗りやすいローションタイプの保湿剤など、肌によくなじむものがおすすめです。
皮膚をこすらず、手のひらで優しく押し広げるように塗りましょう。
保湿は、洗浄直後の皮膚が湿っている状態で行うと効果的です。
お風呂上がりの保湿を習慣にしましょう。
保湿剤を塗るときは、適切な量を使用することが大切です。
保湿剤の使用目安量
クリームは
人差し指の第一関節分
ローションは
10円玉程度
両手分の面積が塗れる
塗る量が少ないと
保湿効果が得られない!
保護
皮膚を保護するために、以下に気をつけましょう。
- むやみに高齢者の腕や足をつかまない、引っ張らない
- 皮膚が弱っている時は、外部刺激から守るため長袖長ズボンを着用する
- 衣類や医療用テープなど、直接皮膚に触れるものは刺激が少ないものを選ぶ
また、家具の角にクッション材を貼るなど、環境を整えることも大切です。
皮膚への触れ方や、触れるものに気を配ることが、皮膚を守ることに繋がります。
気をつけたい、テープでの皮膚トラブル
ガーゼやチューブの固定に便利な医療用テープ。使用方法によっては皮膚トラブルに繋がることもあります。テープを貼る時とはがす時は特に注意をしましょう。高齢者の皮膚は傷つきやすいため、テープによる皮膚への負担を最小限にすることが大切です。
貼る時・貼っている間
貼る時の力加減や皮膚へのなじませ方によっても、皮膚トラブルは起こります。水ぶくれや、かぶれを防ぐために、適切な貼り方を意識することが大切です。
水ぶくれ
テープを強く引っ張って貼ると、テープが元に戻ろうとする力が皮膚にかかり、水ぶくれができる場合があります。
かぶれ
同じ部位に繰り返し貼っていると、角質がはがれやすくなります。また、粘着成分でかぶれてしまう場合もあります。
貼っている間の
皮膚の様子に注意
テープを貼っている間は、ムレや刺激でかゆみが出やすくなります。かゆくなる前に、テープの周りを保湿して皮膚を守りましょう。また、むくみや違和感が出たときは、水ぶくれを防ぐため、位置をずらして貼りなおすなどの工夫も大切です。

はがす時
テープをはがす際は皮膚への負担が大きくなります。はがす時に皮膚表面のバリア機能が一緒にはがれてしまうため、わずかな刺激でも傷ついたり、赤みや痛みが出やすいため注意が必要です。
表皮はく離
テープを繰り返しはがすと、角質と一緒に表皮もはがれてしまい、皮膚の赤みや痛みの原因となります。また、感染リスクも高まります。
スキンーテア(テープテア)
テープをはがす際、皮膚をしっかり押さえなかったり、一気にはがしてしまうと、皮膚がめくれたり裂けてしまうことがあります。
ゆっくりはがすことが、
皮膚を守るポイント

テープは、ゆっくりはがすことで痛みをやわらげ、皮膚への負担を軽くすることがわかっています。
- ※
ニチバン社提供データ
このような皮膚トラブルを避けるためにも、正しいテープ選びと使い方を知っておくことが必要です。
次に、医療用テープ選びのポイントについてご紹介します。
皮膚に優しいテープ選びと使い方
普段、テープをどのような基準で選んでいますか?テープによる皮膚トラブルを未然に防ぐ第一歩は、実は“選び方”にあります。大切な皮膚を守るために、負担の少ないテープを選び、正しく使用しましょう。
柔らかいテープは皮膚にやさしく密着するため、はがす時の痛みを軽減します。
また、角質はく離も少ないのでかぶれにくいです。
通気性が高いと、ムレを防ぎ汗をかいてもはがれにくくなります。
貼り替え頻度が少なくなり、皮膚へのダメージを抑えられます。
よく伸びるテープは皮膚の細やかな動きに自然にフィットして、貼っている間のストレスを軽減します。
貼り方
目測して、あらかじめテープをカットする
テープの中央から外側に向かって貼る
強く引っ張った状態で貼ると皮膚に負担がかかり、水ぶくれの原因になる
- ※
毎回同じ位置に貼るのは皮膚の負担になります。1cmでもいいので、ずらして貼りましょう。
はがし方
テープの端をつまみ、反対の手で皮膚をやさしく押さえる
皮膚が伸びないように、皮膚を指で押さえながらゆっくりはがす
持ち上げたり、勢いよく引っ張ると皮膚を傷める
Q&A
気をつけていても、はがす時に
皮膚が傷ついてしまう時は?
テープを貼る前に、皮膚に保護膜を作る「被膜材」を塗ったり、テープをはがす前に、はがしやすくする「はく離剤」を使うと、皮膚の負担を軽くできます。かぶれやすい方には特におすすめです。
医療用テープは
どこで買えますか?
ドラッグストアや薬局で購入できます。皮膚が弱い方や、毎日の貼り替えが必要な方にも配慮されたテープがありますので、薬剤師さんやお店の方に相談しながら選ぶと安心です。
- ※
正しく使用しても、状態によって皮膚障害が起こることがあります。皮膚トラブルが続く場合は必要に応じて医療者へご相談ください。
- 出典
- 介護の教科書『今日から自宅でできる!高齢者の皮膚を守るポイント テープ編』(編集・発行:メディバンクス株式会社、2026年1月20日発行)