積層養生テープを用いた炭素繊維シート格子接着工法の施工事例報告

令和5年度 土木学会 全国大会 第78回年次学術講演会

積層養生テープを用いた連続繊維シート格子接着工法の施工事例報告

日時:2023年9月15日(金)
会場:広島大 東広島キャンパス総合科学部講義棟 K209

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ニチバン株式会社 正会員○大場 春樹 ニチバン株式会社 非会員藤巻 充
加藤 将志
熊谷 公孝
市村 周二
株式会社フォワードプレス 非会員坂口 和男
小笠 義春

1.はじめに

コンクリート橋の床版補強工事の一つである炭素繊維シート接着工法は、橋面上の交通に影響を与えずに施工できること、補強材が軽量で施工性が良いこと等から、近年利用が増加している。中でも首都高速道路株式会社、大阪大学等の連名で提案された「格子接着工法」は、短冊にした炭素繊維シートを格子状に貼付し、窓と言われる下地素地部分を設ける工法であり、炭素繊維シートを床版下面全面に貼付する「全面接着工法」の問題であった補強後の床版の躯体素地の観察や床版内に浸入した水の排出を可能とした。しかし、窓を残すために複数回に亘って養生テープを貼付、カットする手間が必要となり、養生作業に工数を要する、作業者への負荷が大きいといった課題がある。
この課題を解決するため、筆者らは写真-1 に示すような養生テープが予め複数層積層された”積層養生テープ”を開発した。本報告では実際に積層養生テープを用いて実施した施工事例を報告する。

2.積層養生テープの概要

積層養生テープは、図-1のように緑、青、桃色のフィルムクロステープ及び布テープが積層されたものであり、テープ幅は130、80mmの2種類、巻長さはいずれも10mである。同テープを大きく分類すると、4層構造になっており、1度のテープ貼付で4回分の塗り分け工程の養生ができる特徴を有している。1層目(最上層)~3層目は、各層2色のフィルムクロステープから構成されており、各層の上層は桃色のフィルムクロステープに固定し、緑色と青色のフィルムクロステープを交互に配置している。
このことで重ね貼り位置が視認でき、各層桃色のフィルムクロステープから先に剥がすことで、スムーズな撤去作業を可能とする。4層目(最下層)は、コンクリート面への付着性が良好且つ剥離時に糊残りが少ない布テープの単層構造を採用している。

写真-1 積層養生テープ
図-1 積層養生テープ 断面図

3.施工概要

施工は北海道上士幌町の橋梁(全長約162.7m)を対象に実施した。本施工現場の窓のサイズは、150mm角であったため、窓に対して両端10mmのマージンを確保できる130mmの積層養生テープを使用した。積層養生テープを用いた施工の流れを図-2に示す。

図-2 施工の流れ

(1)積層養生テープの貼付

コンクリート表面を電動工具でケレン、付着している汚れや削り粉をブロアー及び水拭きで清掃、墨出しを行った後、積層養生テープを貼付した。予め、裁断機を用いて、積層養生テープを130mm角に裁断してから現場に持ち込むことにより、短時間で養生作業を行うことができた。

(2)プライマー、不陸修正材塗布、積層養生テープ1層目(最上層)の撤去

プライマー、不陸修正材の順で材料を塗布し、不陸修正材硬化後、桃色のテープ重ね貼り中央側端部から順に剥離、積層養生テープの1層目を撤去した。前述の通り、各層色の異なる2色のフィルムクロステープで構成されていることにより、不陸修正材が塗布された状態でも、重ね貼り部が視認でき、容易に撤去することができた。

(3)炭素繊維シート貼付、積層養生テープ2、3層目の撤去

含浸接着樹脂を用いて、主鉄筋及び配力方向に筋炭素繊維シート貼付した。含浸接着樹脂が硬化してしまうと積層養生テープが撤去できなくなるため、硬化前に積層養生テープ2、3層目の撤去を行った。

(4)中塗り、上塗り塗布、積層養生テープ4層目(最下層)の撤去

中塗り、上塗りの順で材料を塗布し、上塗り剤硬化後、4層目の布テープの中央部にカッターで切り込みを入れ、その切れ込みをきっかけとし、4層目を撤去した。なお、4層目撤去後、窓に粘着剤の残留、塗布材の過度な浸み込みは見られず、綺麗な仕上がりであった。

積層養生テープ貼付
1層目(最上層)撤去
2層目撤去
4 層目(最下層)撤去

写真-2 施工の流れ

4.実施工の結果

下地処理から仕上げ工までの工程で養生に要した施工時間を表-1に示す。なお、比較のため、従来工法である汎用養生テープを用いた際の実績から試算した施工時間も併記する。積層養生テープを活用することにより、養生に要する施工時間を大幅に短縮することができた。具体的には従来工法と比べて、下地処理から不陸修正工では約60%、炭素繊維シート貼付工では約75%、中塗り、上塗り工では約33%、全体で約54%施工時間が短縮された。
また、従来工法は複数回汎用養生テープを貼付・カットしなければならず、その養生精度は作業者に大きく依存する。一方、積層養生テープは製造段階で既に積層されていることから、作業者による養生精度のバラつきが小さく、施工品質の向上が期待できる。

表-1 新工法と従来工法の施工時間の比較
下地処理工~
不陸修正工
炭素繊維シート
貼付工
中塗り、上塗り工 合計
新工法 約2 分 /m 約1 分 /m 約2 分 /m 約6 分 /m
従来工法 約5 分 /m 約4 分 /m 約3 分 m 約13 分 /m

5.おわりに

養生テープが予め複数層積層された”積層養生テープ”を活用することにより,複数回に亘る貼付・カットの 手間が不要となり,大幅な施工時間の短縮が可能となる.また,作業者による養生精度のバラつきが小さく,施工品質の向上が期待できる.

[参考文献]

  1. 1)
    岡田ほか:格子配置された炭素繊維シートによる床版補強効果,第三回道路橋床版シンポジウム講演論文,平成15年6月,pp175-180

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