ニチバンの研究開発
ニチバンのコア技術である粘着技術は、適切な粘着強度、耐候性、貼りやすさ・はがしやすさ、透湿性・低刺激性など、用途と目的によってさまざまな機能が求められます。ニチバンの製品は、長年培った技術をもとに、最適な粘着剤の設計、フィルム等の基材の選択と調整、塗工技術、剥離剤等の材料技術などを組み合わせることで製造されています。
人々の快適な暮らしに貢献し続けるために、今後も高機能・高付加価値な製品を開発し、提供するとともに、新しい領域にも挑戦していきます。

スピードアップのための研究開発フロー

環境・社会課題の解決に貢献する製品開発
環境・社会課題の解決に貢献する開発基準の策定
ニチバンでは、研究開発の段階から環境・社会課題解決に資する視点を取り入れています。製品の環境負荷は「どう設計されたか」で決まるため、研究開発フローのなかでSDGs への貢献を意識することはライフサイクル全体にわたって環境負荷の低い製品を生み出すことにつながります。更に、環境・社会課題の探索のなかで新製品のアイデアを発掘することはサステナブルな社会づくりへの貢献となります。これらはすぐに成果が出るものではありませんが、これからのニチバンが「ありたい姿」を実現するとともに、未来のニチバンのお客様がサステナブルな製品を選択することができるよう、製品を製造、販売するメーカーとしての責任を果たしていきます。
環境に配慮した開発テーマ・新製品開発の促進
市場性だけではなく、環境・社会課題に貢献する開発テーマの探索を行っています。また、開発品の環境負荷を全ライフサイクルにわたり評価を行うとともに、原材料の化学物質含有情報や枯渇資源への配慮を可視化して管理しています。
更に、CO2排出量削減の2030年度目標達成に向けて、2022年度より開発組織もサステナビリティ委員会に参画し、研究・生産と一体となり環境対応製造方式による新製品開発の取り組みをスタートしました。社内標準化委員会では、アイデア発掘、企画、製品の設計、工程設計、生産、販売、廃棄に至るすべての過程でSDGs の視点を持つ研究開発フローの検討を行い、サステナブルな製品開発の促進に向けて活動しています。
イノベーション創出
グループ社内提案制度
ニチバングループ社内提案制度は「顧客目線開発」「社員エンゲージメント向上」を目指して大幅な改善を行い、2020年11月に「NBrain(エヌブレイン)」として再スタートしました。NBrain は、ワークフローシステムから提案を行う「製品提案」と社内SNS を活用した意見交換の場である「idea farm」で構成されています。全従業員の開発意識を高めるだけでなく、制度を通じた活発な意見交換により、知識・知恵の交流にも貢献しています。
新たな取り組みへの挑戦
国内外の企業やスタートアップとの協業推進に加えて、大学との共同研究、東京大学「社会連携講座」開設等による新しい技術の拡充、大学の研究会、公的機関のコンソーシアム参加による最新の技術動向の調査を通じてイノベーション、新規事業の創出を目指します。
また、社内のイノベーション文化を育成・醸成しています。
知的資本の取り組み
ニチバンは、研究開発で培ってきた技術を活かし、「人に優しい」「環境に優しい」さまざまな粘着製品を生み出しています。新たな価値創出を進めるなかで、知的財産はますます重要となっています。私たちは、他社との協働によるイノベーションの創出に基づく研究開発をサポートする体制の構築を進めています。また、製品・技術を守り利益を確保するために知的財産の権利化・維持を行うことを、持続的な成長を支える重要なファクターとして位置づけ、推進しています。更に、社内の知財教育と海外展開に応じた知的財産の取得を継続的に行っています。
製品事例
アトファイン™傷あとケアテープ
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1.お悩み
- 術後の傷あとをきれいに治したい
- 傷あとの予防やケアの方法がわからない
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2.ニチバンの技術
- 粘着剤に対するアプローチ
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- アクリル粘着剤合成
- 配合技術
- 低刺激性
- 長時間貼付
- 通気性
- 対皮膚粘着力コントロール
- 基材に対する改善
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- 伸張性コントロール
- 紫外線カット
- 分析
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- 形状評価
- 皮膚刺激評価
- 3.製品
ケアリーヴ™
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1.お悩み
- 絆創膏を貼ると指が曲げづらく、剥がれやすい
- 絆創膏の跡が白くふやける
- 剥がすときに痛い
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2.ニチバンの技術
- 粘着剤に対するアプローチ
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- アクリル粘着剤合成
- 配合技術
- 低刺激
- 対皮膚粘着力コントロール
- 基材に対する改善
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- 柔軟性
- 通気性
- 分析
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- 形状評価
- 皮膚刺激評価
- 3.製品
たばねら™テープ
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1.お悩み
- 野菜を傷つけずに、簡単に包装したい
- オリジナルブランドをアピールしたい
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2.ニチバンの技術
- 粘着剤に対するアプローチ
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- ゴム粘着剤配合技術
- 結束性
- 耐水性
- 低粘着力
- 剥離剤合成技術の応用
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- 機械適性
- 印刷
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- 小ロット対応
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3.製品
- 特長
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- しっかり結束
- 野菜に付かない
- オリジナル印刷がオーダー可能
ディアキチ™ワザアリ™テープ
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1.お悩み
- キッチン周りで便利なテープが欲しい
- 冷蔵庫の整理整頓がしたい
- 輪ゴムやクリップだと、食品の開封日が分からない
- 作り置きの保存容器に日付を書きたい
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2.ニチバンの技術
- 粘着剤に対するアプローチ
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- アクリル粘着剤合成
- 配合技術
- 再剥離性
- 耐水性
- 低温対応
- 結束性
- 基材に対する改善
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- 手切れ性
- 耐水性
- 筆記性
- 3.製品
お客さまの声を聴くしくみと製品開発の工夫
ニチバンでは、安全に、そして安心して製品をお使いいただけるよう、品質管理体制の強化に取り組んでいます。あわせて、お客さまの「声」に積極的に耳を傾け、製品の改善に活かすよう努めています。

研究所・製品設計部
粘着の技術をベースに新たな価値を生み出す「基礎研究」及び「応用研究」に取組んでいます。
ニチバングループが持つコア技術をより有効に活用し、変わり行くマーケットニーズに対応した開発を進めています。